ページのまとめ
  • 株の需要と供給を変動させ、株価を動かす要素を材料と呼ぶ
  • 株価に影響を及ぼすため、材料を理解することは非常に大切
  • 材料を見つけてもすぐに飛びつかず、その影響範囲や影響期間を考える

材料とは

株の需要と供給を変動させ、ひいては株価を動かす理由や要因のことを、「株価材料」あるいは単に「材料」といいます。

株価は最終的には需給で決まるのですから、その需給を動かす材料について理解すれば、株価の行方を予想できるということになります。ですから、材料を理解することは、株式投資をする上でとても大切なのです。

なお、狭い意味で“材料株”とは、一時的に人気化するような、特別な話題が生じた株のことを指します。あるいは、いわゆる「仕手<して>」(多額の資金を使って株価を釣り上げるグループ)が手掛けている仕手株のことを指したりします。しかし本記事では、株価に影響を及ぼすすべての要因を、まとめて「材料」と呼ぶことにします。

『会社四季報』などの株の専門雑誌や、『日本経済新聞』などには、大小さまざまの材料がたくさん載っています。それらを見ていると、すぐにでもその株を買いたくなるものですが、ちょっと待ってください。

しかしここで気を付けなければならないのは、材料にはさまざまな種類があることです。まず、材料の種類やその影響の範囲をしっかり確かめ、その材料が本当にまだ影響力を持っているのかを確認しなければなりません。

材料が影響を与える範囲は異なる

材料には実に多くの種類があります。そして、材料の種類によって影響を与える範囲が異なります。

  • 個々の銘柄(例:トヨタ自動車、日産自動車)に別個に影響を与えるもの:業績、新製品、など
  • ある業種全体(例:自動車業界)に影響を与えるもの:規制、関税、新発明など
  • 複数の業種に横断的に影響を与えるもの(例:輸出関連業種):為替など
  • 日本の株式市場全体に影響を与えるもの:景気、金利など
  • 世界の株式市場全体に影響を与えるもの:国際金融、グローバルマネーの動きなど

材料には寿命があり、その長さは数時間から1年以上まで

また、材料の影響期間、すなわち“寿命”も、まちまちです。株式市場が開いている間に、「ある銘柄に関する重大発表があるらしい」といううわさが出て、それによって株価が動いたが、実はそれが間違いだったといようなときは数分とか、数時間で材料が消えることになります。間違いであっても、それが株価を動かすのであれば、立派な材料です(なお、株価の操縦を目的として意図的にウソの情報=材料を流すことは、法律で禁じられています)。

一方では、数カ月から1年以上も続くような、息の長い材料もあります。オリンピックなど、国の政策に絡むような材料は、息の長いものとなりますが、息が長いだけに、必ずしも急激に需給を動かすとは限りません。また、ずっと等しく影響を与えているわけではありません。なにかのきっかけで思い出されて、じわじわと、長期間にわたって影響を与えるものです。

これから様々な需給の材料について説明していきますが、材料を見る際に意識しておきたいのは、次の3点です。

  • (1)どの範囲に影響する材料なのか(個々の銘柄なのか、業種・セクターなのか、市場なのか、など)
  • (2)どれくらいの期間、いつからいつまで影響する材料なのか
  • (3)その材料が、今後いつ、どう変化するのか

(1)と(2)については、上で説明した通りです。(3)については次の項目で説明します。