PERは株価が割安か割高かを判断する代表的な指標。PERが低いほど会社が稼ぐ利益に対して株価が安いことを表す。東証1部の全銘柄のPERの平均は16.5倍(2014年6月末)なので、それよりもかなり割安な銘柄に絞っていることがわかる。
- 実践編
- 投資家インタビュー
2014年7月24日
- 岡本隆寛さん
長期で持てる割安株をとことん選ぶ「負けない投資」で資産8倍!
- 投資歴・実績
- 3年
- 投資スタイル
- 割安株を短期~長期保有
ハンドルネーム | 岡本隆寛さん(男性・23歳) ブログ:http://equity-investment.jp/ |
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職業 | アフィリエイター(株ソムリエ) |
投資歴 | 計 3年 2011年 40万円を元手に投資を開始 2011年3月 東日本大震災の影響を受けて3日で投資資金が20万円になるも株価を気にせずに長期投資を続ける 2013年 大学4年生の段階で資産が330万円になる |
利用している証券会社
手数料が安いという理由で利用しているが、投資ツールなどは特に利用していない >> SBI証券の公式サイト |
ライブドアショックに興奮した中学生、株ソムリエを自認
岡本隆寛さんが株式投資に興味を持ったのは、ライブドアショックの起きた2006年1月のこと。しかしながら当時は中学生で、ライブドア株の売買はできませんでした。
上場廃止が決まり、紙くず同然の値段になるライブドア株。悲嘆にくれる個人投資家。その盛り上がりは今でもなお語られるほどです。それを横目に見ながら、岡本さんは悔しがっていました。その「お祭り状態」ともいえる市場に参加することができなかったからです。
20歳になり、ライターの仕事をこなして貯めた40万円を元手にいよいよ株式投資を開始したものの、直後に起きた東日本大震災時の相場によって、資産を半分にしてしまいました。岡本さんはそこでめげずに長期投資を行い、大学4年時には資産を約8倍、330万円に増加させたのです。
現在、企業分析や投資の考え方をサイトにまとめ「株式投資.jp」で公開。自ら世界で一番有名な「株ソムリエ」と名乗り、日々情報提供にいそしんでいます。
【岡本隆寛さん】
当たり前のことですが、株式市場には株を買わなければ参加できません。ライブドアショックには、自分にはそもそも、参加する権利すらなかったのです。20歳になるまでは勉強の期間だと考え、高校生のころには個別銘柄の分析をしていました。そうして20歳になった段階で早速株式投資をはじめました。初めて買った銘柄はサッポロホールディングス(2501)でしたね。株主優待でビールがもらえるという安直な理由だったのですが、権利確定日を待たずにすぐ売ってしまいました。結局、ビールはもらわずじまいでしたね。
株ソムリエという名前は、ワインのテイスティングをする専門家(ソムリエ)のように、個別銘柄の分析を行う専門家になるという意味合いで名づけました。自分で名乗っているだけといえばそうなのですが、個別株の分析記事だけでも600以上アップし、少しずつ形になってきたように思います。
株価の割安性にとにかくこだわる投資
基本戦略は、「とにかく割安株を買う」ことにつきます。割安株を買うというセオリーはよく長期投資で用いられるのですが、岡本さんはそれを短期売買でも実行するのです。
割安株と判定する条件
(できるだけ多く該当すればベスト!)
(1)PERが10倍以下
(2)PBRが1倍未満
PBRはPERと同じく株価の割安度を測る指標。こちらは1倍未満で割安と判断する。PBR1倍未満というのは、理論上は会社を解散して資産をすべて売り払ったほうがお金が多く残ることを表す。とはいえ、東証1部の全銘柄のPBR平均は1.1倍(2014年6月)。PBR1倍未満の会社はわりと多く存在する。
(3)持続的成長を遂げている
1年に1度行われる決算や、3カ月に1度発表される四半期決算の数字がどうか、確認しておく。特に売上高や営業利益が毎年増加しているかを見る。売上高は利益の源泉、営業利益は本業で稼いだ利益ということで、どちらも会社の損益計算書に記載されている。
(4)財務状態がいい(自己資本比率が高い・有利子負債が少ない)
会社の資本のうち返さなくていい自己資本の割合が自己資本比率で、会社の負債(借金)のうち利子をつけて返さなければいけないお金の割合が有利子負債である。会社の資産を揃えるためには、もともと持っているお金を使うか、それとも借金するかしかない。借金するよりは当然自分のお金をたくさん使っていたほうが財務状態がいいといえる。
(5)拡大戦略を練っている
新しい事業をはじめる、主力商品を別の市場や地域に販売する、画期的な新商品を発表するといった、今後の展開にプラスになるような要素があるといい。
【岡本隆寛さん】
短期売買をする際はよく、値動きの激しい銘柄が好まれるように思います。確かに、うまくいけば大きなリターンが期待できますが、それはリスクと表裏一体です。そんな株に手を出して負けてしまえばダメージも大きくなります。そこで、短期売買を行うときにも割安な株を買う作戦を取ります。仮に短期投資と思って買った銘柄が下落したときには、割安な株の株価はいつか回復すると考えて、長期保有に切り替えればいいのです。この方法で私は割安と思われる株ばかり買っています。
その結果、短期の思惑が外れて含み損を抱えたことはありますが、長期で保有して戻したところを売っているので、金額自体はほとんど減らしたことがありません。
シイエム・シイ(2185)に見る割安株の例
岡本さんは注目している割安株の例として、シイエム・シイ(2185)をあげました。同社は技術マニュアルを作成する会社で、トヨタや日産などとの取引が約7割を占めています。
2014年6月末現在、PERは約8倍、PBRは約0.6倍となっていて、上記の条件をクリアしています。
持続的成長をしているかは売上・利益がちゃんと出ているかを確認します。2014年5月9日に発表された「業績予想との差異に関するお知らせ」によると、第2四半期決算の売上は+4.8%、営業利益は+55.5%ととても伸びています。自己資本比率は71.5%もあり、有利子負債はありません(取材後に公表された14年3月期決算では1億8800万円の有利子負債を計上)。この基準もクリアしているといえます。
拡大戦略は読み取りにくい部分ではありますが、お知らせによると計画を上回る案件があったと書かれているため、これからも拡大基調だと考えることができるでしょう。
つまり、岡本さんの考える「割安株」の条件にほぼ当てはまっているのです。
【岡本隆寛さん】
シイエム・シイのような株であれば、短期保有目的で買って、思惑に反して下落したとしても、その後長期的には株価が戻してくるだろうと考えられます。また、短期で上がったらいったん売って、また値が下げたときに買い戻せばいいのです。確かに、派手な値動きをする銘柄より利益は薄いかもしれません。しかし、私のおすすめする短期投資ならば、通常の短期投資よりも余裕を持って取り組めます。また、長期保有を前提とするならば、できれば会社とは無関係に日経平均株価が大きく下げたとき、暴落したときなどが絶好の買い場となります。市場はよくないニュースに驚いて株価を下げますが、その後業績のいい株は持ち直す傾向にあるからです。割安な株を割安で仕込めれば勝ったも同然でしょう。
「負けない投資」が資産を増やす
投資家はいかにして勝つかを考えている人がほとんど。書籍や雑誌には勝った人の手法やコメントが並び、1億円以上稼いだ人のブログが賑わっています。しかし、岡村さんはそれに異を唱えます。
【岡本隆寛さん】
私はあえて、『負けないこと』を推奨したいです。大きな損失を出し、市場から退場するのはだいたいの場合やり方を間違えて、負けた人です。負けなければ資産が減ることはありませんし、誰でも利益を得ることができると思います。敗北を避け、小さな勝利を積み重ねて、資産を大きく増やしていきましょう。
岡本隆寛さんが主に利用している証券会社
利用している証券会社 | 手数料が安いという理由で利用しているが、投資ツールなどは特に利用していない >> SBI証券の公式サイト |
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利用期間 | 3年 |
岡本隆寛さんの投資スタイル
投資スタイル | 割安株を短期~長期保有 |
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投資歴 | 3年 *2014年6月現在 |
上記の投資歴で出した利益 | 約350万円 |
はじめて買った株 | 銘柄名:サッポロホールディングス(2501) 購入した金額:5万円程度 結果:優待の権利確定日を待たずに売却 |
投資情報で参考にしている媒体 | 会社四季報(東洋経済新報社) |
銘柄選びで意識していること | 徹底的に割安株を探し、負けない投資を実践する |