- 基礎編
- 始める前に株のソボクな疑問を解決!
2014年8月21日
株で儲かったときの、税金は?
- ページのまとめ
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- 売買利益にも、配当金にも、原則として20.315%の税金が課税される
- 年間を通じた損失分を、翌年以降の利益から差し引くこともできる
- 配当金への課税は種類があり、確定申告で返してもらえる場合もある
10万円の利益なら、2万315円が税金に取られる!
株を売買したことによる利益(キャピタルゲイン)のことを、税金の用語では「譲渡益」と言います。この譲渡益にも、また配当金にも、それぞれ税金がかかります。(なお、税制は変更になることがありますので、最新の情報は証券会社や税務署に確認してください。)
まず上場株式の譲渡益ですが、原則的に、20%(所得税15%+住民税5%)の課税がなされます。
さらに、本記事執筆時点(2014年6月)では、所得税に復興特別所得税(所得税額×2.1%)が上乗せされるので、計20.315%の税率となっています。復興税は平成49年(2037年)まで、加算される予定です。
譲渡益(利益) | +10万円 |
---|---|
税金 (税率 20.315%) | -2万315円 (利益10万円×20.315%) |
手取り | +7万9685円 ←最終的に手元に残るお金 |
数値例で見てみましょう。100万円で買った株が値上がりして、110万円で売れたとします。この場合、譲渡益は10万円です。課税は10万円×20.315%で、2万315円が税金として差し引かれます。手取りは7万9685円となります。ずいぶん高い税率のように感じますね。
申告分離課税と特定口座株の税金は給料の税金とは別
次に、譲渡益課税の課税方法ですが、これは「申告分離課税」といって、他の所得(給料など)とは別に(分離して)、確定申告をして納税することが原則です。
しかし通常、会社員や公務員の方は確定申告をしないでしょうし、頻繁に売買をするのであれば、管理も面倒になってきます。そこで、例外的に、投資家の手間を軽くする制度が儲けられています。それが「特定口座」という種類の口座です。特定口座を利用すると、確定申告の手間を省くこともできます。なお、口座の種類については、「証券会社の選び方(1)証券会社の種類を知ろう」でくわしく説明します。
損を出した年は確定申告をすれば、翌年以降の利益から差し引ける!
株で利益を出した時は税金を取られるのに、損をしたときはゼロ、ではやや不公平ではないかという考え方から、今年の損益の合計がマイナス(損失)だった場合、もし翌年以降に利益がでれば、その翌年以降の利益と、今年の損失とを相殺できる制度も用意されています。
繰り越し控除を適用している場合 | 繰り越し控除を適用していない場合 | |
---|---|---|
昨年の損失 | -30万円 | -30万円 |
今年の利益 | 50万円 | 50万円 |
税金がかかる金額 | 20万円 | 50万円 |
税金(税率 20.315%) | 4万630円 | 10万1575円 |
手取り | 【45万9370円】 | 【39万8425円】 |
手取りに6万945円も差が出る!
たとえば、昨年30万円の損失があり、今年50万円の利益が出たとします。すると、今年は50万円から30万円を差し引いた、20万円分についてだけ税金を納めればいいというものです。これを「譲渡損失の繰越控除」と言います。
この損失の繰り越しは3年後まで適用可能なので、適用すれば大変お得です。ただし、この「譲渡損失の繰り越し控除」を利用するには、特定口座であっても、また、適用しない年があっても、必ず毎年確定申告をしなければなりません。
税率が20.315%になった現在、これを利用するのとしないのとでは、税額にかなり大きな差が出ます。確定申告をするだけで数万円から数十万円、人によってはそれ以上の税金の差が出ます。やや手間はかかりますが、もし大きな損失を出してしまったら、必ず確定申告をして適用できるようにしておいた方がいいでしょう。
配当金課税には、種類がある
株式投資で得られる配当金にも、譲渡益課税と同じく20.315%(所得税15.315%+住民税5%)(復興税含む)の税金がかかります。配当金課税は、配当金が支払われる際に源泉徴収されます。わたしたちの給料から、毎月税金が天引きされているのと、同じ仕組みです。
配当金には控除等があり、確定申告をすることにより、配当控除等を受ければ、源泉徴収された課税額が返金される場合があります。配当金の金額が大きい場合は、これらの適用を検討してみてもいいでしょう。
確定申告の際ですが、配当金の課税については、総合課税または申告分離課税のどちらかを選択することができます。総合課税の場合は、「配当控除」という控除の適用を受けることができます。また、申告分離課税を選択した場合は、上場株式等の譲渡損失との損益通算を行うことができます。
どちらを選んだ方がいいのかは、その人の他の所得、株などでの利益、他の控除など、さまざまな条件によって変わるので、一概には言えません。確定申告時期には税務署で無料の税務相談コーナーが設けられますので、そこで相談してみるといいでしょう。
100万円まで税金がタダになる!NISA口座は初心者におすすめ
もともと、上場株式の譲渡益課税は20%だったのですが、長らく続いていた株価低迷への対策として、これを10%にする軽減課税が適用されてきました(2003年より)。
ところが、これは短期間の特例措置だったはずなのですが延長に延長を重ねて、2013年まで続きましたが、ついに2014年、この軽減措置が廃止になりました。それと、いわば引き換えに導入されたのが、NISA口座です。
NISA口座の場合 | NISA口座ではない場合 | |
---|---|---|
利益 | +10万円 | +10万円 |
税金 | -0円 非課税! | -2万315円 |
手取り | 【+10万円】 | 【+7万9685円】 |
NISA口座では、1年間に100万円までの投資元本部分については、どれだけ利益を出しても非課税、ということになっています。20.315%の課税がゼロになるのですから、かなりお得です。NISA口座と、普通の証券口座の両方を持つこともできますので、これから少額で株式投資を始めてみようという方であれば、まずはNISA口座で始めてみることをおすすめします。ただし、1年間簡に100万円を超える元本金額は利用できません。
なおNISA口座については、「NISA口座と普通の口座の違いを知ろう」で詳しく説明します。