ページのまとめ
  • 株式会社は17世紀大航海時代のヨーロッパで誕生した
  • 航海に必要な多額の資金を集めるために考えられたしくみ
  • 会社を経営する人と、会社の持ち主が別であることが株式会社の特徴

大航海時代のヨーロッパで株式会社が誕生

株は、株式会社が発行する「持ち分を細かく分割して表した券」のことです。では、このような仕組みは、なぜ生まれたのでしょうか?

世界で最初の株式会社は、17世紀オランダの東インド会社だと言われています。当時は大航海時代と言われ、ヨーロッパからインドなど世界中の大陸へと航海をし、さまざまな貿易活動を行うことで巨額の利益を得ることができました。

しかし、当時のことですから、航海とか貿易といっても、半分は侵略戦争のようなもので、非常に危険で、失敗の可能性も高いものでした。また、遠方への航海は巨額の資金を必要とします。

仮に、とても有能な一人の人間が、自分でお金を用意して、計画を立てて人や物資を集め、船を操縦して貿易を行い、成功したとします。儲けはすべて自分のものになりますから、巨額の富を得ることができるでしょう。

しかし、もし失敗すれば、すべてを失います。船が嵐にあって沈んでしまえば、命まで失うことになります。

これはあまりにもリスクが大きすぎるでしょう。そもそも、巨額の費用を個人で用意すること自体が、困難です。

事業にお金を出すことが出資

そこで、役割を分担することが考えられました。まず、必要なお金は、たくさんの人に少しずつ出してもらうことにします。事業にお金を出すことを「出資」、出したお金を「出資金」と言います。

出資者には、航海が成功したら、出資金の額に応じて利益を分配します。その代わり、失敗したら、出資金は諦めてもらいます。「だれがどれだけを出資したのか」(=持ち分)がわかる証拠として、株が発行され、株を持っている人は「株主」と呼ばれます。

利益を目的に出資者もお金を出す以上、成功の可能性が低い事業計画に出資してくれるはずがありません。そこで、そもそもの航海事業の計画を立てるとともに、その成功率を高めるようにさまざまな工夫をし、必要な人や物資を手配したり、計画を出資者にうまくプレゼンテーションしてお金を集めたりする役割の人が必要になります。これが「経営者」です。

経営者が船の操縦技術に長けていれば、自分で運転していくでしょうが、そうとは限りません。また、貿易には船の操縦以外にも様々な仕事が必要となります。そこで、今度は、船の運転が得意な船長、渡航先での交渉が得意な交渉係、品物の管理やお金の計算が得意な管理係など、役割に応じた人を雇います。これが「従業員」です。

「資本と経営の分離」が、株式会社の基本スタイル

こうして、出資者と経営者、そして従業員がそれぞれ役割を分担しながら事業を行っていくのが、株式会社の基本的な仕組みです。

株式会社の場合、会社は基本的に出資した株主のものです。経営者は、いわば株主に「雇われている」ような関係だとも言えます。こういう株式会社の性質を、「所有と経営の分離」という言葉で表すこともあります。会社を所有している人と、経営する人は別だ、という原則です。

株式会社の基本スタイル 所有と経営の分離