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2014年9月4日
ROEで企業の「収益力」がわかる
- ページのまとめ
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- ROEは、株主が投資したお金に対してどれだけ利益を上げているのかを表す
- 会社が、株主の代わりにどれだけ稼いでくれるかがわかる
- OEが高いほど、収益力の高い企業である
会社の儲けは、決算書にどのように反映されるのか
復習も兼ねて、会社の動きが決算書の数字にどう反映するのかを確認しておきましょう。
会社は、元手(損益計算書の負債(他人資本)と純資産(自己資本))を使って事業を行い、利益(損益計算書の当期純利益)を上げます。
その利益の一部を、株主への配当に回し、残りの一部を内部留保として残し貸借対照表の利益剰余金が増えます。そして、純資産が増えていきます。増えた純資産は、新しい事業をしたり、万一の事態に備えて貯めておかれたりします。
投資したお金でどれだけ稼いでくれるか?
ところで、株を買うこととは、企業に投資し、自分の代わりに事業でお金を増やしてもらうことだともいえます。そういう見方をしたとき、投資家に投資してもらったお金をどれだけ効率よく活用して儲けを出しているかという「収益力」は、その企業や経営者を評価する上での重要なポイントです。
その「収益力」を計測するための指標の1つがROEです。
ROEとは、英語の"Return On Equity"の略で、日本語では「自己資本利益率」(または株主資本利益率)と呼びます。
自己資本とは、貸借対照表の純資産の部のことです(厳密には「純資産の部」と「株主資本」さらに「自己資本」は、それぞれ少し違うのですが、細かい話になるので、ここでは同じものとみなしていただいてOKです)。
会社の純資産は基本的に株主のものですが、ROEは、株主のものである自己資本を使って、どれだけの利益を出しているのかということを表す指標です。以下の算式で求められます。
- ROE=純利益÷純資産(株主資本)×100(%)
数値例で見てみましょう。
- H社:当期純利益10億円、純資産100億円
- I社:当期純利益40億円、純資産800億円
純利益の絶対額を見ると、I社はH社の4倍稼いでいます。しかし、ROEを計算すると、以下のようになります。
- H社のROE:10億円÷100億円×100=10%
- I社のROE:40億円÷800億円×100=5%
H社は株主の資金(自己資本)に対して、10%の利益を上げました。株主が投資してくれたお金を、1年間で10%増やした、ともいえます。一方I社は5%の利益率で、株主のお金を5%しか増やせませんでした。つまり、効率性という点からは、H社の方が、2倍効率よく稼ぎ、収益力が高い企業だということになります。