ページのまとめ
  • PBRは同業他社や業界平均との比較で使う
  • PBRの平均は業種によって異なる
  • 長期間PBRが1倍割れになったままの企業は要注意

PBRは相対比較に使うのが基本

PBR(株価純資産倍率)の使い方と注意点をまとめました。PBRは、PER(株価収益率)と同様に相対比較のために使うものです。しかしPBRがPERと違うのは、理論上「1倍」という絶対的な基準があることです。そのため、つい1倍割れに飛びつきたくなります。

しかし、本来であれば1倍に「さや寄せ」するべきPBRが、長期にわたって1倍以下に放置されていうことは、なんらかの理由があるはずです。もし、PBR1倍以下の銘柄を検討する場合、すぐに飛びつくのではなく、その点を確認しましょう。

PBRの使い方

(1)同業他社との比較に使う
業種によって、比較的負債が多くなる(純資産が少なくなる)業種とそうでない業種があります。たとえば、金融業や不動産業は、負債が多くなります。そこで、PBRは同業他社との比較での「割安、割高」を見るために使うのが基本です。

(2)業種平均値との比較に使う
業種平均PBRと比べて、低ければ割安、高ければ割高だと考えられます。業界平均PBRは、東証のWebサイト掲載のデータで各月末の値が確認できます。

東京証券取引所「規模別・業種別PER・PBR」
http://www.tse.or.jp/market/data/per-pbr/

(3)過去の実績との比較に使う
たとえば、過去5年間のPBRの平均が1.5倍なのに、それが急に高くなったり、低くなったりした場合は、株価が割安、または割高になっていると考えられます。ただし、なんらかの事情で純資産が急に増減していることも考えられますので、その理由を確認しましょう。

(4)1倍割れが1つの目安
PBRが1倍ということは、株価と純資産が同じということです。それを下回っているということは、絶対的な割安です。もちろん、割安だからすぐに上がるということではありませんが、市場から注目されやすくなるでしょう。ただし、注意してほしいのは、業種によっては業種平均が1倍を割れているような場合もあることです。たとえば、鉱業は1倍割れが続いています。このような場合は、1倍割れが当たり前になっており、それを理由に市場の注目を浴びる可能性は低いでしょう。

(5)PBRは実績値にもとづいている
PBRは、実績の純資産をもとに計算されます。予想ではありません。そこで、市場が、将来のその企業の業績が悪くなると予想している場合、予想と実績との差から、PBRは低くなります。会社発表の業績予想とともに、『会社四季報』の予想など、第三者による業績予想を確認しましょう。それがマイナスにでなっていれば、投資には適しません。

(6)長期間低PBRのままの企業は、要注意
一時的に株価が下がって、PBR1倍割れになった企業は別として、何年もの間、ずっと1倍割れのままの企業もあります。これは、市場がその企業の将来に対して何らかの不安を感じているということです。
たとえば、帳簿上には表れない「含み損失」(過去の購入した不動産が大きく値下がりしている場合など)を抱えているのでは、といった疑念がある場合です。
そういう企業に投資したい場合は、安全面にとくに注意しましょう。

最低でも、赤字ではないこと。毎年、利益が伸びていれば理想的ですが、そうでなくても少なくとも利益を出していることが必要です。

「有利子負債」が多くないかどうかをチェック(できればゼロがいい)。有利子負債とは、文字通り利息を支払わなければならない借金です。これが多いと、いくら稼いでも利息の支払いに消えるということになります。そこで、有利子負債が総資産の1~2割程度であれば問題ありませんが、3割を超えるようだと注意。5割を超えるようだと危険です。できればゼロであればいいでしょう。