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2014年9月4日
PERの使い方と注意点
- ページのまとめ
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- PERは、同業他社、業界平均などと比べた割高、割安を見るために使う
- PERが100倍を超える銘柄は避けた方が無難
- PERは赤字企業では使えない
PERは「割高、割安」を見るために使う
この項目は、「PERで、「利益から見た割安、割高」がわかる」の続きなので、そちらを読んでいない方は、まずそちらをお読みください。
銘柄選びの際に、どのようにPERを使えばいいのか、また、どのような点に注意しなければならないのかをまとめました。
(1)PERは「割安、割高」を見るために使う
「割高、割安」とは、あくまで何かと何かを比較したときの見方です。PERの数字自体に、絶対的な基準としての意味はない、ということが基本です。単に「C社はPERが18倍」といっても、それだけは意味がないということに注意してください。C社は18倍だけど、D社は15倍なので、D社の方が割安=株価がさや寄せする可能性が高い、という点を見ます。
(2)同業他社との比較に使う
業界によって平均的な利益水準が異なるので、通常、PERは同業他社との比較に使われます。同業種であれば、利益水準が極端に異なることはないためです。
(3)業種平均値との比較に使う
上の(2)と同じですが、業種平均と比べて、低ければ割安、高ければ割高だと考えられます。なお、業種ごとの平均PERは、各月末時点のものを、東証が発表しています。
東京証券取引所「規模別・業種別PER・PBR」
http://www.tse.or.jp/market/data/per-pbr/
(4)過去の実績との比較に使う
ずっとPER20倍前後で推移してきた企業が、急にPER40倍になっている、というようなときは割高になっている可能性が高く、要注意です。逆にずっとPER30倍で推移してきた企業が、10倍になっているというときは、割安になっている可能性が高いでしょう。いずれにしても、なぜそのような変化が生じたのか、理由を調べることが大切です。
(5)市場平均PERを過去の実績と比較する
東証では市場全体の平均PERも公表しています((3)に掲載のURL掲載と同じデータです)。また、これは『日経新聞』にも毎日掲載されます。
たとえば、過去3年間をみると、日本の株式市場の平均PERは下限では11倍程度から上限では23倍程度です。すると、平均PERが20倍を超えたら、そろそろ天井に近づいたのかもしれないと予想できます。また、15倍を下回ってきたら、そろそろ底値が近いかもしれないと予想できます。
(6)過去の経験値から考えて異常に高いPERは注意
PERは相対的な比較のために使うのが原則で、絶対的な数値基準ではないと書きました。基本はその通りなのですが、そうは言っても、この数字が異常に高い場合は、過去の経験値から考えて、おかしいと感じるときがあります。
目安としては、PERが100倍を超えるような銘柄は、要注意です。PERが100倍ということは、株価分の利益を稼ぐのに、100年かかるということです。理論ではありませんが、経験的に、これはあまりにも「割高」ではないかと考えられます。
株価は、一時的に行き過ぎたブーム、いわゆる「バブル」によって、理屈からは考えられないような高いところまで上がることもあります。しかし、そのようなバブルは、いずれ崩壊することは間違いありません。安全を重視した投資では、そのような銘柄には手を出すべきではありません。
(7)赤字の場合PERは使えない
PERが表すのは、株価が利益の何倍になっているかですから、そもそも利益がない(赤字)の場合は、PERは算出できません。
(8)PERは予想利益に基づいている
通常、PERを算出するために用いる利益は、来期の予想純利益を使います。つまりPERは予想PERになります。予想なので、突然変化する場合があることに注意しましょう。