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2014年9月4日
PERで「利益から見た割安、割高」がわかる
- ページのまとめ
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- PERは株価が、EPS(一株当たり利益)の何倍になっているのかを表す
- PERを比べることで、利益からみた割安、割高がわかる
- PERは、同業他社との比較や、時系列での比較で用いる
PERは、「株価がEPSの何倍になっているか」を表す指標
「PER」とは、英語の“Price Earnings Ratio”の略で、日本語では「株価収益率」といいます。読み方は<ピーイーアール>です。
PERは、「株価がEPSの何倍になっているか」を表す指標です。株がどれだけ割安、割高なのかを、利益の点から比較するために使います。数字が小さければ相対的に「割安」、大きければ相対的に「割高」であることを示します。
なお、PERは「EPSと株価との倍率」ですから、EPSを理解していないと、PERは理解できません。
EPSを御存じない方は、先に「EPSで「この株はどれだけ稼いでいるのか」がわかる」の項目を読んでください。
EPSについて簡単に要点を復習しておくと以下の通りです。
- EPSとは、一株当たり利益のことで、「一株がどれだけ稼いでいるのか」を示す数字
- 求め方は、EPS=当期純利益÷発行済み株式数
異なる株価でも、優劣が簡単にわかる
さて、「EPSで「この株はどれだけ稼いでいるのか」がわかる」の項目では、次のような2社の例を用いました。
- A社:当期純利益:10億円、発行済み株式数:1000万株、EPS:100円
- B社:当期純利益:20億円、発行済み株式数:5000万株、EPS:40円
このときは、話をわかりやすくするために、A社もB社も株価は同じ1000円だと仮定しました。そして、同じ株価でありながら、A社株はB社株の2.5倍も稼いでいるため、A社株は優秀な株だという結論になりました。
しかし、実際には、異なる銘柄の株価が同じということは、例外的です。そこで、今度は、他の条件はA社、B社と同じであるC社とD社に登場してもらい、C社の株価が1800円、D社の株価が600円だと仮定します。C社の株の方が高いのです。
では、このとき、利益の観点から見たC社株とD社株はどちらが優秀か、すぐにわかるでしょうか?
- C社:当期純利益:10億円、発行済み株式数:1000万株、EPS:100円、株価1600円
- D社:当期純利益:20億円、発行済み株式数:5000万株、EPS:40円、株価600円
この答えを簡単に示してくれるのが、PERなのです。
PERはEPSを株価で割って求める
PERは株価をEPSで割って求めます。
- PER(株価収益率)=株価÷EPS(単位は「倍」)
するとC社、D社のPERは、それぞれ以下のようになります。
- C社のPER:1800円÷100円=18倍
- D社のPER:600円÷40円=15倍 → こちらの方が割安
C社株の株価は、EPSの18倍まで値上がりしています。これはその株が稼ぐ利益の18倍の値段、ということです。一方、D社株の株価はEPSの15倍です。稼ぐ利益の15倍の値段、ということです。つまり、この2つの株の比較では、A社株は「割高」、B社株は「割安」であると判断できます。
このように、PERによって、「何倍」というわかりやすい数字で「利益の面から見た株の割安、割高」を比較できるのです。
投資資金を何年で回収できるのか
ところで、PERは、その株に投資した資金を何年で回収できるのか、という視点でとらえることもできます。仮に、当期純利益がすべて配当金にあてられるとしたら、一株当たり配当金=EPSとなります。その場合、EPS=配当金によって、何年で投資資金の回収できるかがわかります。
C社であれば、EPS=一株当たり年間配当金は100円です。すると、1800円でC社株を買った人は、売らないでずっと持っていれば、18年間で投資資金を回収できる、ということになります。
一方、同じ考えでD社株を見ると、15年で投資資金が回収できるということです。このことからも、D社株の方が割安であることがわかるかと思います。
PERは決算短信には記載されていない
PERは、株価との関連で算出されます。このような指標のことを「株価指標」といいます。株価指標は日々の株価の変動にあわせて毎日変動します。そのこともあり、決算短信には、PERのような株価指標は掲載されていません(掲載されても、あまり意味がありません)。
『会社四季報』にも記載されていますが、これも毎日動く株価には対応できないため、あまり意味がないでしょう。
ネット証券の銘柄情報、またはヤフーファイナンスの企業情報などでは、日々の株価に応じた最新の予想PERが掲載されていますので、自分で計算するのが面倒であれば、それらのサイトで確認しましょう。
株価を予想EPSで割ればいいだけので、自分でも簡単に計算できます。
PERの実際の使い方や、注意点は、次の「PERの使い方と注意点」で説明します。
なお、PERを検索項目としてスクリーニングすることもできます。 図はPER1倍以上20倍以下で設定している例です。