ページのまとめ
  • 株を買ったらすぐに、損切り注文を出しておく
  • 損切り注文は、現在の値段の10%下が一般的
  • 損切りは早ければ早いほど楽に実行できる

逆指値で「強制的」に損切りする

損切りとは、買った値段より値下がりしている株を、損を承知で売ってしまうことです。損切りはリスク管理上、非常に重要で、きちんと損切りできるかどうかが株式投資で成功できるかどうかをわけるといっても過言ではないくらいです。

しかし、個人投資の多くは、この損切りが苦手です。その理由については後で述べますが、この難しい損切を半ば「強制的」に行う方法があります。それが、逆指値による損切り注文を出しておくことです。それも、株を買ったら、下がっても上がっても、すぐに逆指値注文を出すことがポイントです。

総資産に対する最大損失額の設定について、「投資でもっとも大切な資金管理(2)リスク管理の具体的なやり方」で説明しますが、それとは別に、個々の銘柄についても強制的に損切りする基準を設定します。

損切りのポイントは5~10%の間で設定すればいいでしょう。どのくらいの基準に設定するかは、その人次第ですが、あまり小さい基準だとすぐに損切りばかりすることになりますし、かといって、大きな基準だと損失額が大きくなります。

わかりやすい数字として、10%に設定したとします。たとえば、1000円で株を買ったらすぐに(約定した日か、その翌日に)、900円の逆指値で売りの注文を出しておけばいいのです。

こうしておけば、900円になったら、自動的に損切り注文が発動されます。この際に注意するのは、株価が下がってきた場合、絶対に損切りの逆指値注文を取り消したり、注文価格を変更(たとえば、850円で出し直す)したりしてはいけません。

実際に株価が下がると、「すぐ上がるだろう」という心理が働いて、このようなことをしたくなるのですが、それではリスク管理の意味がありません。

株価が上がった場合は、逆指値の値段も上げていく

逆に株価が上がってきた場合は、適宜逆指値注文の株価も上げていきましょう。たとえば、株価が1100円まで上がったら、当初900円で発注していた逆指値注文を990円にして出し直す、という具合です。

株式投資において、もっとも大切なことは、資金を一度になくしてしまわないことです。そのために「逆指値による損切り」は、絶対のルールとして、実行しましょう。

なぜ「塩漬け」はだめなのか

株価が下がった場合、損切り以外の対処法は「塩漬け」ですが、ほとんどの場合、塩漬けはおすすめしません。なぜなら、時間と投資資金の活用の効率が悪くなるからです。

もちろん、株価は波のように動いていますので、いまは含み損を出している株も、ずっと保有していればいつかは上がるかもしれません。しかし、それがいつになるのかはわかりません。すでに説明したように、私たちは有限の時間の中で投資をしなければならないのです。また、投資資金も有限です。

含み損を出している銘柄は、損切りをして、多少資金は減るにしても、その資金と時間を別の株に投資すれば、利益が出せる可能性があります。それなのに、「自分は間違えていない。いつか上がるはずだ」と思って、塩漬けを続けることは、仮に将来本当のその株が上がったとしても、非効率です。

損切りは、意外と難しい

そこでほとんどの場合は損切りをした方がいいのですが、これが意外と難しく、素早い損切りのできない投資家はたくさんいます。株式の売買は、お金の損得に直結しているため、心理的な影響を非常に受けやすいものです。

「お金は大切だ」「損をしたくない」と思えば思うほど、その気持ちが売買に影響して判断を曇らせます。しかし、何度も繰り返し出てきますが、「お金が大切」というのは「自分の都合」で、株価の動きとはなんの関係もありません。あくまで中心は、株価の動きであり、自分の気持ちは関係ないのです。むしろ、極端に言えば、投資したお金は全部無くなってもいい、というくらいの気持ちでいる方が、売買はうまくかもしれません。

だれしも自分の間違いは認めたくありませんし、損をしたくもありません。含み損が、含み損であるうちは、明日から反転して、利益になる可能性があります。いまはたまたま下げているだけで、この株には上がるはずだ、と思っていた方が楽なのです。そのために、損切りが遅れますが、損切りは遅れれば遅れるほど、やりにくくなります。

損切りは早ければ早いほど楽

損切りは、株価の下落が小さい時に、つまり早くすればするほど楽です。なぜなら早い損切りほど、実際に損失になる額が少ないからです。

  • 1000円の株を100株購入=10万円
  • 50円下落して、950円になったときに損切り。5000円の損失

手もとに戻ってくるのは、9万5000円です。この資金をまた別の銘柄に投資して、5000円の損失を取り戻すのは、それほど困難なことではないでしょう。しかし次の場合はどうでしょうか?

  • 500円下落して、500円になったときに損切り。5万円の損失

手もとに戻ってくるのは5万円です。その5万円の資金で損失分の5万円を取り戻すのは、かなり困難だということは想像がつきますよね。そう思えば思うほど、また損切りができなくなってしまいます。結局この株はいつまでたっても売れもせず、文字通り「塩漬け」となってしまうのです。

相場は常に正しい

そもそも株を買うときは、これから上がると思い、その理由もちゃんとあると考えて買ったわけです。しかし、株価が実際に下がっているということは、上がると思ったその判断や理由がどこかで間違えていた、ということに他なりません。

このときに、人間には「自分の間違いを認めたくない」という心理が強く働きます。そして「いまの相場は間違っている」「この株価の動きはおかしい。たまたま下げているが、いつか正しい動きになって上がるはずだ」といった風に、自分は正しいのに、相場の方が間違っているという感覚に、多くの投資家は陥ってしまいます。

しかし、これはきわめて危険です。どんな場合でも、株式市場でついた株価は絶対に正しく、投資家がしなければならないのは、それを認めてついていくことだけです。

自分では、どんなに「上がる理由」があると思い、下がる理由がまったくないと思っても、実際に下がっているなら、それは下げトレンドであり、正しい相場なのです。