ページのまとめ
  • 株式投資資金の中で、ポートフォリオを構成する
  • 銘柄の分散、時間の分散、目的の分散など、さまざまな分散方法がある
  • 株式市場全体が大きく下げる場面では、分散していても効果はうすい

株式投資資金の中での分散

投資資金の準備(2)保有資産全体のポートフォリオ管理」の項目で、資産全体のポートフォリオについて説明しました。

資産全体のポートフォリオバランスを考えることが、第1段階です。たとえば、資産が300万円で、そのうち、株式投資に50万円をつかう、という具合です。

次は、その株式投資資金50万円を、どのように分散するのかを考えます。

  • 集中投資:株価が大きく上昇する可能性がある代わりに大きく下落する可能性もある
  • 分散投資:株価の上昇も、下落も、穏やかになる

簡単に言えば、株の分散投資とは、よりローリスク、ローリターンを目指すための方法です。こうして考えると、どちらも一長一短です。

しかし、投資においては資金を一度になくしてしまわないような、資金管理が一番大切です。そこで安全性を重視した分散投資を、ここではおすすめします。

株の分散投資のやり方には、次のようなものがあります。

<株の分散投資のやり方>
  • (1)規模、市場、業種など対象の分散
  • (2)売買タイミングの分散
  • (3)保有目的の分散

分散投資のやり方(1) 規模、市場、業種など対象の分散

値動きの異なる銘柄に投資することで、全体の資金の増減が平均化されて、穏やかになります。つまり、短期間に暴落することを防ぐことが目的です。ただし、これは逆に言うと、短期間に急騰する可能性も低くなるということです。

分散投資は、「性格の異なる対象に分けて投資すること」です。異なる銘柄でも、値動きが似ている銘柄に分散しては、あまり意味がありません。たとえば次のような組み合わせが考えらえます。

<分散投資の組み合わせ>
  • 業種の分散:輸出業種と輸入業種
  • 市場の分散:東証1部と東証マザーズ
  • 規模の分散:大型株と小型株

分散投資のやり方(2)売買タイミングの分散

すでに分割売買として説明しましたが、一度にまとめて買わない、ということです。たとえば、300株を買うつもりなら、100株を3回に分けて買う、ということです。

分散投資のやり方(3)保有目的の分散

短期の売買で売買利益をかせぐための株と、長期間保有して、配当金や株主優待をもらう目的の銘柄、という具合の分け方です。

ただし、分散といっても、投資資金が少ないうちは、分散をしようと思ってもできないかもしれません。株は最低5万円程度の資金から始めることはできますが、やはりこれは最低限の金額で、いわば「お試し」での投資金額です。分散投資などでより安全な投資を目指したいのであれば、30万円程度の資金を用意したいところです。

最初は5万円で、1銘柄の売買で、株に慣れながら、その間に積立貯金などで資金を準備していき、その資金が準備できたら、分割売買や分散投資などの本格的なやり方にトライしてみる、という順序でもいいでしょう。

いくら分散していても、株式市場全体の変動には、効果は薄い

もっとも、リーマンショックの時のように、世界中で急速なリスクオフの流れとなり、市場全体が暴落する場合も、まれにあります。市場全体が暴落するときは、銘柄を分散投資していたとしても、やはり株のポジションの全体が暴落してしまいます。このような暴落に対する効果は薄いのです。

そのため、投資の第一段階として、株とは値動きの異なる債券などにも資金を振り分けておく必要があります。これについては、「ポートフォリオ管理」の項目を参照してください。