ページのまとめ
  • 値上がりしたら、売るタイミングを考える
  • 簡単なのは、最高値から10%下がったら売る方法
  • 上昇トレンドが変化していなければ売る必要はない

値上がりしている株を売る

買った株が値上がりして、うまく含み益が出ている時は大変うれしいものです。毎日株価をチェックするのも楽しくなってきます。しかし、含み益は、あくまで「含み益」です。株価が下がれば消えてしまうものであり、売って現金に換えない限り、「利益が出た」とは言えません。

そこで、毎日株価ノートを記録しながら、いつ売るかを考えます。含み益が出ている株を売るのは、次のようなタイミングが考えられます。

<含み益が出ている株を売るタイミングの例>
  • (1)高値から10%(5%などでも可)下落したとき
  • (2)株価の上昇トレンドが終わったと感じたとき
  • (3)買った理由が消えたり、変化したりしたとき
  • (4)リスク管理上で定めた最大損失額になった場合
  • (5)資産バランスを調整するとき

(1)高値から10%(5%などでも可)下落したとき

自分が買った後の、高値から10%下落したら売るという方法です。たとえば、1000円で買った株が、1500円まで値上がりしたとします。そこから10%値下がりして、1350円になったら売る、というものです。

この方法の良いところは、わかりやすいところです。10%というのは、わかりやすい切りのいい数字として例にあげているだけですので、5%でも7%でも、自分の好みで決めればいいでしょう。

(2)株価の上昇トレンドが終わったと感じたとき

値上がりしているということは、株価の上昇トレンドが続いていたということでしょう。この上昇トレンドに変化が生じて、「トレンドが終わった、波が変わった」と感じるときは、素直に売りましょう。

では、どうやって「トレンドが終わった」と判断するのかですが、たとえば、5日連続で下落が続いた、といった日柄的なものでもいいですし、株価の下落率による判断でもいいでしょう。また、直近の下値抵抗線を、下に抜いたというような判断方法もあるでしょう。いずれにしても、テクニカル的な分析による判断となります。

その際、上昇トレンドからの変化が、実は一時的、短期的なもので、再びすぐに上昇トレンドになるかもしれません。そういう時は、また買い直せばいいだけです。わずかな手数料はかかりますが、リスク管理のための必要経費だと思えばいいのです。

(3)買った理由が消えたり、変化したりしたとき

買う時に、投資ノートに買う理由を書きました。それは、その時の状況(会社の状態や、株価)によって得られた理由です。買った理由が変わってしまった、無くなってしまったときは、買ったときと状況が変わったということになりますから、売るしかありません。

例えば、次のような場合です。

<買ったときと状況が変わった 一例>
買った理由 売るタイミング
PERなどの投資指標から見て株価が割安だった 株価が値上がりしたので、割安ではなくなった
チャート上で、上値抵抗線を突破した 新しい上値抵抗線ができて、そこを突破できない
株価に好影響を与えそうなニュースが出た ニュースの発表から時間が経ち、影響がなくなった

この例のような場合は、特に大急で売る必要はありません。もし株価の上昇トレンドが続いている最中なら、まだ持っていても大丈夫です。しかし、上昇トレンドが終わりそうだと感じたときは、すぐに売れるように、毎日の株価の記録に注意しながら、いつでも売れるように準備はしておきましょう。

(4)リスク管理上で定めた最大損失額になった場合

リスク管理については、「投資でもっとも大切な資金管理(1)リスク管理の重要性」「投資でもっとも大切な資金管理(2)リスク管理の具体的なやり方」で説明します。簡単にいうと、投資資金全体に対する最大損失割合を定めておき、株価の下落によって、その割合になったら売る、ということです。

(5)資産バランスを調整するとき

資産バランスの調整については、「投資でもっとも大切な資金管理(4)ポートフォリオのリバランス」で説明します。簡単にいうと、資産全体の中で、株の割合が大きくなり過ぎたら、株を売って、別の資産を買う、ということです。

なお、いずれの理由で売ったにしろ、売った理由などを投資ノートに書いておくことは、すでにご説明した通りです。

売った後にどうするか

売った後も、株価の記録は毎日続けていきます。そうすることで、その売りが正しかったかどうかがわかります。売りのタイミングが早すぎたり、遅すぎたりした場合は、なぜそうなったのかを考え、次回以降の売買に活かします。

いずれ、買ってもいいと思えるタイミングがきたら、また同じ株を買っていきます。

「買値」を基準に考える方法は、あまりよくない

「売買の練習をはじめよう(3)株を売る」では、最初の数回の売買のうちは、「買値から10%上がったら、または10%下がったら売る」というやり方を紹介しました。

そこでは、売買を経験してみることが目的だったので、便宜的にそのようなやり方をしましたが、実は、これは投資の方法としては、あまり正しくない方法なのです。売買を一通り経験した後は、より正しい考え方、方法で売っていきましょう。

なぜ上記の方法が正しくないかというと、「買値」という、「自分の都合」で売買のタイミングをはかろうとしているためです。株価はあなたの都合には関係なく動くものであり、その動きに素直についていくのが、正しいやり方です。

あなたが、いくらで株を買ったとか、どれくらいの利益を出したい、どれくらいの損失で抑えたいというようなことは、株価の動きとは関係ありません。あくまで株価の動きを中心にして、それについていくことを考えて、そこから売買のタイミングを決めるのが、正しい考え方です。