- 実践編
- チャートでタイミングをはかる
2014年9月4日
テクニカル分析は確実ではない
- ページのまとめ
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- テクニカル分析は物理法則のように100%あてはまるわけではない
- チャートが一定程度、有効になる理由は、多くの投資家がそれをみているから
- ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析をうまく組み合わせることが大切
テクニカル指標は「科学」や「法則」ではない
テクニカル指標は、多くのデータから算出されるものなので、科学的であり、市場はテクニカルの法則にしたがって動いていると思う人もいるかもしれません。しかし、実際にはこれらの指標通りに株価が動くかというと、必ずしもそうではありません。指標通りに値動きをすることもあれば、まったく逆の動きや関係ない動きをすることもあります。
また、ある指標が去年まではピタリと値動きを的中させていたのに、今年に入ってまるで機能しないということもあります。銘柄によっても相性の良い指標と悪い指標があったりするものです。
要するに、テクニカル分析は常にあたるわけではないうえ、どの指標が当たりやすいかは銘柄や相場環境によって変化したりもするのです。
結局のところ、テクニカル分析は普遍的なものでなければ絶対的な法則でもなく、買いサインや売りサインが現実にどれぐらい的中しているかということがほとんど検証されてはいません。入念なテクニカル分析を行えば必ず儲かるという根拠はないのです。
多くの人が参考にしていることに価値がある
チャート分析は100%正確にトレンドや今後の値動きを言い当てられるわけではないので過信は禁物ですが、だからといって意味がないわけではありません。
テクニカル分析はマーケットの長い歴史の中で投資家に信頼され、利用されてきた投資戦略です。未来を予想するには過去を学ぶことは不可欠であり、100%ではないにしろ株価は過去と同じような値動きをたどることは多くあります。
株式市場は「人気投票」の側面が強く、株価は銘柄本来の魅力よりも投資家の行動で決まります。株価チャートは世界中の投資家が投資判断の参考にしており、チャート上に買いサインや売りサインが出れば、その通りに実行してくる投資家も少なくありません。多くの市場参加者がチャートにしたがった投資行動をしたり、他人がそうするだろうと期待して便乗する投資家も多く現れ、結果的に株価は法則通りの動きをする、ということもあるのです。
たとえば、多くの人が上値を抑えていると考えていた抵抗線や過去の高値などを突破してくると、それを見て「上昇トレンドに転換した」と判断する人が大勢出てきて、買いを入れてきます。そうすることで実際に株価は力強い上昇に転じる、ということはよくあるものです。
当たるからチャートを見るのか、あるいはチャートを見るから当たるのか、本当のところはだれにもわかりません。しかし、株式投資の成果は自分以外の参加者がどう行動するかに左右されるので、多くの投資家が参考にしているテクニカル分析は、他の投資家の行動を予想するという意味で価値のある指標になるのです。
ファンダメンタルズとテクニカル分析をうまく組み合わせよう
一つ一つの指標の確度は必ずしも高くはなくても、ファンダメンタルズが優良な銘柄で、複数のテクニカル指標が買いシグナルを出しているタイミングの投資なら、そうでない投資よりも成功率は高くなると考えるのが自然でしょう。
ファンダメンタルズとテクニカル分析をうまく組み合わせて投資判断を行っていくのが最もオーソドックスであり、失敗の少ない投資につながる方法だといえます。