- 実践編
- チャートでタイミングをはかる
2014年9月4日
逆張り投資に使うテクニカル指標(1)移動平均かい離率
- ページのまとめ
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- 下がっているときに買い、上がっている時に売るのが「逆張り」
- 逆張り投資は、大きな儲けを目的に、大底、天井を狙って売買する
- 移動平均かい離率は、短期的な株価の行き過ぎを測る、もっともポピュラーな指標
逆張り投資は「一発狙い」が可能
上昇トレンドで買い、下落トレンドで売るといったトレンドの方向に合わせて投資をする順張りに対し、トレンドに逆らった売買をするのが逆張り投資です。つまり、下降トレンドの最終局面(底)で買い、上昇トレンドの最終局面(天井)で売る、ということを狙う売買戦略です。実際には、下がっている時に買い、上がっている時に売ることになるので、トレンドの動きと逆であることから「逆張り」と呼ばれます。
これには、中長期的な下落相場が上昇に転じるなどトレンドが転換するタイミングを狙う方法(図A)と、短期的な暴落や暴騰など、株価が急激に上がり過ぎたり下がり過ぎた局面で、元に戻ろうとするタイミングを狙う方法(図B)の2種類に大別できます。
株式市場は参加者の心理を強く反映するため、株価が一時的に上がり過ぎたり下がり過ぎたりすることはよくあるものです。しかし行き過ぎた相場は、いずれ是正され適正な水準に戻ります。こうした性質を狙って売られ過ぎたときに買い、買われ過ぎたときに売るのが逆張り投資の基本的な考え方です。
もし中長期で見て最も安くなっている大底圏で買ったり、高くなっている天井圏で売ったりできれば、利益は非常に大きくできます。確実性を重視するなら、株価の方向に乗るトレンドフォロー戦略で小刻みに投資する方法が適していますが、大きな利益を狙うのであれば、中長期での逆張りが有利になります。
相場には、行き過ぎがよくある
たとえば、ある銘柄に悪材料が出ると、当然株価は下落することが予想されるので、保有している人は我先にと売ってきます。保有していない人も、下落局面で儲けようと信用取引で空売りを入れてきます。
多少の下げなら損失が出ても塩漬けする投資家も多くいますが、あまりに下げ幅が大きくなると、信用取引で買っている投資家は持っていられなくなります。株価が下がれば下がるほど損失が膨らみ、追加の証拠金(追証)を求められます。追証を用意できなければ強制的に決済されるため、信用買いしている投資家のポジションは一斉に売られるわけです。自発的に損切りする投資家も加わって、我先にと売りに走る「投げ売り」が始まります。まさに売りが売りを呼ぶパニックのような状態が「セリングクライマックス」と呼ばれます。
こうなると、現物株を持っている投資家も「このまま下がり続けるのでないか」という恐怖感で、つられて売ってしまう人も増えます。心理的なパニックに近い状態で売りが売りを呼ぶため、その銘柄の本来の価値よりも、ずっと安くなるまで売られてしまう「行き過ぎ」になります。
このような状態はまさに売られ過ぎの極致です。こうした局面ではあらゆる売り物が出尽くしてしまうため、その後は反転して上昇しやすくなります。こうした局面で買えれば、大きな利益を手にできます。
移動平均線を使って、相場の「行き過ぎ」を判断する方法
すでに説明した移動平均線は、相場の行き過ぎを判断するためにも使えます。株価が移動平均線から大きく離れて上昇すれば、いずれは下落して移動平均線の付近まで戻ってくると考えられ、逆に移動平均線から大きく下に離れると、いずれは上昇して戻ってくる可能性が高くなります。
移動平均線と株価がどれだけ離れているかを示すのが、「移動平均線かい離率」と呼ばれる指標です。移動平均線と、現在の株価が重なっているときは、いまの株価が、過去の一定期間の平均株価と同じであることを示します。つまり、過去の平均に比べて高すぎもしないし、低すぎもしないということです。このとき、かい離率は0%となります。
株価が急上昇すると、移動平均線から上方向に離れます。たとえば、株価と移動平均線との差が10%になれば、かい離率10%です。逆に株価が値下がりして移動平均線より10%低くなれば、かい離率マイナス10%です。
なぜ株価は移動平均線へと戻るのか
移動平均線は、その銘柄を買っている投資家の平均的な取得コストも意味しています。たとえば5日移動平均線なら、その5日間にその株を買った投資家の平均的な取得コストになります。つまり、移動平均線かい離率が10%ということは、その5日間にその株を買った投資家は、10%の利益が出ている、ということになります。かい離率が20%なら平均20%の利益です。当然、この数字が上がれば上がるほど、「利益確定売り」が出やすくなります。
その一方で、新規に買おうと思っている投資家は、あまりにも急激に株価が上がっているため、買いを手控えます。このようにして、かい離率が大きくなると、また移動平均線に近づくように戻っていくのです。
移動平均かい離率の目安
移動平均かい離率はローソク足チャートの下に表示されます。相場の状況や銘柄によっても異なりますが、一般的な値動きの銘柄の場合は、以下の数値が判断の目安となります。
- 10%を超えたら売りを検討
- 20%を超えたら、売りサイン・マイナス10%を下回ったら買いを検討
- マイナス20%下回ったら買いサイン
たとえば、メディア工房の場合、値動きの激しい銘柄のためプラスマイナス10%程度ではあまり動きがありませんが、プラスマイナス20%を超えると反対方向に転じている(反転している)のがわかります。
いずれにしても、過去のチャートを見て、どれぐらいかい離したタイミングで株価が反対方向に転じているかを確認し、その銘柄に合った反転ポイントを見つけるのがおすすめです。