東洋経済新報社から3カ月に1度発売される会社四季報には、上場している企業の業績や財務情報が掲載されているので熟読する。ただ、会社四季報の情報は3カ月に1度しか更新されないので、最新の情報は企業のIRサイトなどで手に入れる。
- 実践編
- 投資家インタビュー
2014年7月24日
- 立川一さん
増収・増益・増配を続ける会社の将来に投資して資産4倍!
- 投資歴・実績
- 20年程度(途中、ブランクあり)
- 投資スタイル
- バリュー投資・グロース投資
ハンドルネーム | 立川一さん(男性・40代) ブログ:http://vis2004.blog.fc2.com/ |
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職業 | サラリーマン |
投資歴 | 計 20年程度(途中、ブランクあり) 中学生のころ:投資信託を積み立てで購入 高校生のころ:ワラントを購入したものの、紙くずとなる 社会人:るいとう(株式累積投資)を使ってニコンやオムロンなどの個別株を買う 2000年:それまで保有していた金融資産をすべて売却 -- 以後しばらく投資を休む 2004年:投資を再開 2007年:逆行高を経験したことにより、現在の投資スタイルを確立 2014年:投資10年で資産は約3.9倍に *2014年6月現在 |
利用している証券会社
手数料がもっとも安かった時に口座開設。売買にだけ使用しており、同社のツール類はほとんど利用していない >> SBI証券の公式サイト |
学生時代の投資が長期投資の有効性を教えてくれた
立川一さんが投資をはじめたのは中学生のころ。株式投資に取り組んでいた父親の影響を受けて、ごく少額から投資をスタートさせました。このころは株に限らず、さまざまな金融商品を買っています。
中学生のときは株と債券に投資する投資信託を積み立てで地道に購入。投資信託は投資家から集めた資産をファンドマネージャーと呼ばれるプロが運用し、生まれた利益を投資家の出資額に合わせて分配する投資商品です。
高校生のときにはワラントを購入しました。ワラントとは、「ある株の価格がいくらになろうとも、定められた期限日までは一定の価格で購入できる権利」をやり取りする投資です。株価の動向によってはハイリターンが得られる半面、投資金額のすべてを失う可能性もある投資商品です。
そして社会人になってからは、るいとう(株式累積投資)を用いて単元未満株(1単元に満たない株)を毎月少しずつ買い増していきました。
【立川一さん】
これらの投資の結果、どうなったと思いますか? 投資信託とるいとうはうまくいったのですが、ワラントは文字通り紙くずにしてしまいました。株高になるとよくテレビなどで『株で儲けた芸能人』や『○○万円儲けたトレーダー』といった人たちが紹介されます。しかし、こういった人の多くは下落相場になると消えていきます。
確かに、間違った方法でも一時的に儲かることはあるかもしれませんが、資産を形成するためには正しい理論で長期間投資に取り組むことが必要なのです。ワラントの失敗から、短期の変動をとらえることの難しさを思い知りました。
増収・増益・増配企業を狙う
2000年にそれまで持っていた金融資産を売却。その後しばらくは投資から離れていましたが、2004年に投資を再開し、あわせてブログで投資の記録をつけるようになりました。
立川さんの投資スタイルを一言でいえば、増収・増益・増配をしている会社の株の購入です。
立川一さんの投資スタイル
(1)会社四季報や各企業が公表するIR情報を熟読する
(2)決算の結果が「増収・増益・増配」となっている会社を調べる
株式市場に上場している会社は1年に1度、決算を行う。決算はその年の売上を計算して、そこから費用を引いて利益(または損失)がどのくらいあったかを計算し、公表すること。決算の結果、売上高が増加している(増収)・経常利益が増加している(増益)・配当金の金額が増えている(増配)会社を選んで、そこに投資する。
売上が上がって利益も上がっているならば、その会社の事業が現段階ではうまく行っていて、世の中で認められていることを指す。増配は株主である投資家たちへ利益を還元する意識が高いことを意味している。
(3)売上が増えているのに利益が伸びていない会社や、売上より利益が減っているような会社は避けたほうがいい
こうした会社は、費用が多くかさんで、利益を出しにくい体質になっている可能性がある。言い換えれば、ビジネスのやり方に問題があることが多い。
(4)景気に大きく左右される自動車や鉄鋼業などは買わない
これらの銘柄は多くの場合、「景気のいいときに設備投資をたくさんする→景気の悪いときにそれらの設備の維持にお金がかかる」というパターンに陥り、大きく赤字となる可能性があるので避ける。
(5)赤字の会社や、売上より売掛金(売上にはなっているものの、まだ支払われていないお金)の多い会社も避ける
特に売上より売掛金が多いということは、架空の売上を計上する「粉飾決算」の可能性すら疑われる。こうした会社はそもそも配当を出したり、増配することができない。
【立川一さん】
こう語ると難しそうに見えますが、投資をしてはいけない会社を避けていくと、結果として増収・増益・増配をしている会社に行き着きます。
増収・増益・増配を続ける会社とは?
ステップ(9795)という会社があります。学習塾を展開している同社は、1995年に店頭公開し、今に至るまで順調に成長を続けています。次の表は、同社の売上・利益・配当金の金額をまとめたものです。
売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
配当金 (円) |
校舎数 (校) |
備考 | |
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1995年9月期 | 3048 | 645 | 39 | 店頭公開 | |
1996年9月期 | 3368 | 716 | 44 | ||
1997年9月期 | 3734 | 749 | 53 | ||
1998年9月期 | 4246 | 835 | 64 | ||
1999年9月期 | 4338 | 823 | 68 | ||
2000年9月期 | 4518 | 799 | 71 | ||
2001年9月期 | 4689 | 935 | 70 | ||
2002年9月期 | 4923 | 946 | 74 | ||
2003年9月期 | 5283 | 1031 | 12 | 83 | |
2004年9月期 | 5414 | 1107 | 12.75 | 89 | ジャスダック上場 |
2005年9月期 | 5635 | 1114 | 13 | 94 | |
2006年9月期 | 5978 | 1237 | 14 | 96 | |
2007年9月期 | 6299 | 1283 | 15 | 97 | |
2008年9月期 | 6786 | 1479 | 16 | 98 | |
2009年9月期 | 7131 | 1570 | 17 | 101 | |
2010年9月期 | 7378 | 1667 | 18 | 107 | |
2011年9月期 | 7668 | 1763 | 19 | 111 | 東証2部上場 |
2012年9月期 | 8244 | 1944 | 22 | 116 | 東証1部上場 |
2013年9月期 | 8804 | 2117 | 28 | 120 | |
売上高 (百万円) |
営業利益 (百万円) |
配当金 (円) |
校舎数 (校) |
備考 |
1995年以降、売上高は一貫して増収、伸び続けています。また営業利益(本業での儲け)も、1998年~2000年を除き増益となっています。さらに配当金も2003年の12円から増配を続け、2013年には28円と2倍以上となっているのです。
【立川一さん】
学習塾というと、一般的に『これから少子化だから厳しい』『売上も利益もしぼんでいくだろう』などと考えられる向きがあります。しかし、私はそうした余計な予測をしません。売上を伸ばし、利益を伸ばし、さらに配当も伸ばしている会社である限りは保有し続けます。逆に売上・利益・配当が減って、それが一時的な理由でないと分かった場合は売ります。また、株価が割高になった場合も売ります。
ステップは神奈川県に絞って学習塾を経営しています。これは、都道府県によって受験のシステムが違うためです。受験制度が変わればすぐに対応し、手厚く指導を行います。そして校舎を1年に数個しか増やさず、作った塾が地域No.1になるようにスタッフを育てているのです。
私はこの株を2012年1月に499円で買いました。そして、2014年6月末現在でこれが807円になっています。実に6割近く上昇していますが、株価の割安度を測るPERは約10.2倍で、東証1部平均の約3分の2と、まだ割安の状態なのです。
とにかく会社四季報を熟読!
多くの長期投資家・バリュー投資家の例に漏れず、立川さんも会社四季報を熟読しています。会社四季報は東洋経済新報社から3カ月に1度発売されている本で、上場しているすべての会社の詳細なデータが掲載されています。
その中から売上・利益が順調に伸びていて、さらに利益率の高い会社を選びます。その上で借金(有利子負債)がなく、自己資本比率・利益剰余金が高いものを選ぶのが理想です。
【立川一さん】
会社四季報はCD-ROM版も発売されていますし、証券会社のウェブサイトなどでも見ることができます。しかし、できれば本で、すべての企業に目を通してみてください。4000社近くもあり大変ですが、CD-ROMや証券会社のまとめよりも頭に入ってきます。ファンダメンタルに賭ける投資は、決算を追いかけるひと手間があります。これを資産形成の大切な過程として前向きにとらえ、地道に種銭を増やすことができることが成功のための条件ではないかと思います。
立川一さんが主に利用している証券会社
利用している証券会社 |
手数料がもっとも安かった時に口座開設。売買にだけ使用しており、同社のツール類はほとんど利用していない >> SBI証券の公式サイト |
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利用期間 | 10年以上(投資再開時から) |
立川一さんの投資スタイル
投資スタイル | バリュー投資・グロース投資 |
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投資歴 | 20年程度(途中、ブランクあり) |
上記の投資歴で出した利益 | 2004年の再開以後で資産4倍 |
はじめて買った株 | 銘柄名:大阪ガス |
投資情報で参考にしている媒体 | 会社四季報(東洋経済新報社) 各社のIRサイト |
銘柄選びで意識していること | 増収・増益・増配を続ける銘柄を購入する |
*バリュー投資:会社の資産・利益・配当から考えられる株価が割安だと判断した場合に投資を行う方法。投資家たちがその会社に注目し、価値が見直されたときに株価が上がると考えられる。
*グロース投資:会社の利益や資産などがこれから増えると判断した場合に投資を行う方法。会社が予想通りに成長したときに株価が上がると考えられる。